それをどうしようもなく愛してしまう「狂気」こそが
四柱推命のお話からは逸れますが、すごく面白くて「味わい深い」というのがぴったりなアニメを観ました。
『へうげもの』
という戦国時代に織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に仕えた武将であり茶人の古田織部という男の人生が描かれている漫画がアニメ化されたもの。
安土桃山時代といえば戦乱真っ只中ですが、古田織部は武将として功績を残したいというよりも茶道具や器などの「物」への執着が凄まじく、侘びさびや美しいものが何よりも好きで我を忘れる程のいわゆるマニアな男。
この主人公は戦国の世で戦術に特別長けているわけでもなく、名家の生まれでもない。誰よりも忠義に厚いというわけでもない。
でも、なんだかものすごく魅力的で目が離せない輝きがある。
美しい「物」に憑りつかれてそれを眺めているだけで幸せで、次第に好きを通り越してその道を極めるしかないとひたすら危険を顧みず突き進むようになる。周囲から見れば狂人のようにも見えるくらいに好きで仕方ない何かがあるということは、それは何より本人にとって幸せなことだ。
物語はフィクションだけれど、史実に基づいている出来事やエピソードも混ぜられており、もしかしたらこうだったかもしれない歴史として鑑賞するのも面白いと思います。
有名な戦国時代の茶人、千利休。
利休の弟子になった古田織部との関係性やそれぞれの登場人物たちの野心渦巻く攻防、業の深さ、人間の狡さや弱さ、時代の変遷など本当に「人間」を丁寧に描いた物語です。
いかに生きるのか?
「我」とは一体何なのか?
その人「らしい」って?
人生って、
生きていく中で自分に色々と足していくもののような気がしてしまうけれど、
本当はいらないものを究極まで削いでいくことなのかもしれません。
生きることに意味があるかなんて誰にも分からないけれど、
生きていてどうしようもなく愛してしまう「何か」があるとするならそれは誰がなんと言おうと最高に幸せな境地にたどり着ける第一歩なのかもしれません。
偏愛、狂気、それもいい。